車中泊の質を劇的に向上させる秘密兵器について、お話しします。その秘密兵器とは、なんと家庭用冷蔵庫です!
車中泊の醍醐味は、自由に移動しながら、その土地の新鮮な食材を楽しめることです。
しかし、その楽しみを最大限に引き出すには、適切な食材保存方法が欠かせません。
ここで重要な役割を果たすのが冷蔵庫なのです。
冷蔵庫があれば、次のような利点があります:
- 食材の鮮度を長く保てる
- 買い物の頻度を減らせる
- 調理の幅が広がる
- 飲み物を冷やして楽しめる
つまり、冷蔵庫は単なる贅沢品ではなく、快適で豊かな車中泊生活を実現するための必需品と言えるでしょう。
一般的な車載用冷蔵庫の課題
ここで多くの方が思い浮かべるのは、専用の車載用冷蔵庫でしょう。確かに、車載用冷蔵庫には次のようなメリットがあります。
- 車内での使用に特化した設計
- 12Vや24Vの直流電源で動作
- 省電力設計
しかし、実際に使ってみると、いくつかの課題に直面することも少なくありません。
1. 容量不足:多くの車載用冷蔵庫は10〜40リットル程度の小型モデルが主流で、長期の旅行には不十分です。
2. 高価格:性能の良い車載用冷蔵庫は非常に高価で、十分な容量のものとなるとさらに値段が跳ね上がります。
3. 冷却性能の不安定さ:外気温や車内温度の影響を受けやすく、一定の温度を保つのが難しいことがあります。庫内が一つのものが多く、冷凍と冷蔵が分けにくい。
4. 消費電力の問題:省電力設計とはいえ、車のバッテリーに負担をかける可能性があります。
5. 使い勝手の悪さ:上開きタイプが多く、食材の出し入れがしづらいことがあります。
これらの課題に直面し、「もっと快適な解決策はないだろうか」と悩んでいた時、ある大胆なアイデアが浮かびました。
家庭用冷蔵庫導入の決断
「そうだ、家庭用冷蔵庫を使ってみよう!」
この発想は、多くの人には突飛に聞こえるかもしれません。
事実、私自身も最初は半信半疑でした。しかし、よく考えてみると、家庭用冷蔵庫には大きな可能性がありました。
1.十分な容量:92リットルの一人暮らし用冷蔵庫を選択したので、4〜5日分の食材を余裕で保存できます。
2.コストパフォーマンス:車載用の高級モデルと比べると、同等以上の性能でより安価です。
3.安定した冷却性能:家庭用ならではの確かな冷却技術で、一定温度を保ちやすいです。
4. 使い慣れた操作感:日常で使用しているものと同じなので、ストレスなく使えます。
5. 多様な収納スペース:棚やポケットが充実しており、効率的に食材を整理できます。
もちろん、課題もありました。
電源の確保や振動への対策など、クリアすべき問題は少なくありません。
しかし、これらの課題も工夫次第で解決できるのではないか。
そう考え、私は家庭用冷蔵庫を車中泊に導入する決断を下しました。
果たして、この決断は正しかったのでしょうか?
家庭用冷蔵庫は車中泊生活の救世主となり得るのでしょうか?
1年以上にわたる使用経験から、その答えを詳しくお話しします。
使用機器の紹介:車中泊の相棒たち
愛車紹介:中古日産バネットバン(17年目)の詳細
私たちの車中泊の旅を支えてくれているのは、17年選手の日産バネットバンです。
古き良き時代の風格を感じさせるこの車両、実は車中泊には最適な相棒なんです。
日産バネットの主な仕様
– 型式:SK82VN
– 年式:2006年(執筆時17年目)
– エンジン:2000cc ガソリン
– 駆動方式:後輪駆動
– 全長×全幅×全高:4,285cm × 1,690cm × 1,985cm
– 最大積載量:750kg
車中泊に適した特徴
- 広い荷室:冷蔵庫を含む大型の荷物もなんとか積載可能
- 高い天井:ベッドを設置してその下へバッテリーや荷物収納が可能
- 大型スライドドア:荷物の出し入れがしやすい
- 頑丈なボディ:小型貨物なのでエンジンや車輪まわりが丈夫
古い車両ゆえの課題もありますが、定期的なメンテナンスで17年目も元気に走り続けています。
むしろ、新しい車にはない味わいと愛着が、旅の楽しみをさらに深めてくれているんです。
選択した冷蔵庫:92リットル一人暮らし用の仕様
車中泊用の冷蔵庫として選んだのは、一般家庭用の92リットル冷蔵庫です。
コンパクトながら十分な容量を持つこのモデルは、私たちの旅のニーズにぴったりでした。
家庭用冷蔵庫を導入するにしても半分の45リッターを最初に考えていましたが、値段的に似たようなものだったので思い切って92リッターのものにしました。
冷蔵庫の主な仕様
- 商品の寸法 44.7奥行き x 47.4幅 x 83.1高さ cm
- ブランド YAMAZEN(山善)
- 容量 92 L
- 年間エネルギー消費量 188kWh/年
- 電圧 100 ボルト
- ワット数 45 W
- 重量 19 Kg
- 電圧 100 ボルト
このレベルの家庭用冷蔵庫では最安値級のものです。
電源については、大型のポタ電やサブバッテリーシステムを組んでいますので、数値的には常時稼働が可能と判断しました。
実際、1年以上使っていますが、太陽パネルの発電と走行充電器で十分この冷蔵庫が常時稼働しています。
選択理由と考慮した要素
家庭用冷蔵庫、それも92リットルという車中泊では比較的大型のモデルを選んだ理由には、いくつかの重要な考慮事項がありました。
1. 十分な容量
– 4〜5日分の食材を余裕で保存可能
– 長期の車中泊でもスーパーでの買い出し頻度を減らせる
2. コストパフォーマンス
– 同等サイズの車載用冷蔵庫と比較して、はるかに安価
– 耐久性も家庭用ならではの信頼性
3. 使い勝手の良さ
– 家庭で使い慣れた操作感
– 棚の高さ調節や引き出しなど、使いやすい内部設計
4.安定した冷却性能
– 車載用と比べて温度変化が少ない
– 冷凍室付きで長期保存食材にも対応
5.サイズ感
– バネットの荷室にジャストフィット
– 冷蔵庫周辺にも十分な生活スペースを確保可能
選択に際しては、重量や電力消費、振動への耐性など、車での使用に関する懸念点もありました。
しかし、これらの課題は適切な固定方法や電源システムの構築によって解決できると判断し、思い切って導入を決意したのです。
振動への耐性が一番の心配ごとでしたが・・・問題なし!
電力供給については、十分でしたが、心配は、振動への耐性でした。
最安値級の冷蔵庫を選んだのには、この心配があったのが大きいです。
振動ですぐ壊れてもあきらめることのできる値段のものにしました。
この記事の執筆時点で1年3ヶ月が経過しました。
山道や海岸線、高速道路などあらゆるところを旅しましたが、いまのところ何の問題もありません!
結果として、この選択は私たちの車中泊生活に革命をもたらしました。
電源システムの詳細:家庭用冷蔵庫を車で使うための技術
家庭用冷蔵庫を車中泊で使用するには、適切な電源システムが不可欠です。
ここでは、私が構築した電源システムをご紹介します。
2500Wサブバッテリー(自作)の構成と特徴
心臓部となるのは、自作の大容量サブバッテリーシステムです。
サブバッテリーシステムの構成
- Renogy DCC 走行充電器12V 50A MPPTチャージコントローラー内蔵
- 100ワットのソーラーパネルを2枚
- 正弦波インバーター
- リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリー 12V 200Ah
詳しい内容は次の記事で詳細を解説しています。
自作したサブバッテリーシステムの特徴
- 大容量:総容量25,000Whで、冷蔵庫を3-4日間連続で稼働可能
- 安全性:LiFePO4バッテリーは高い安全性と長寿命が特徴
- 軽量:従来の鉛蓄電池と比べて約1/3の重量
- 効率的:深い放電と急速充電に対応
- モニタリング:リアルタイムで電力使用状況を確認可能
この電源システムにより、家庭とほぼ同等の電力環境を車内に構築することができました。
結果として、92リットルの家庭用冷蔵庫を問題なく稼働させ、快適な車中泊生活を実現しています。
しかし、このシステムにも課題はあります。
初期コストが高く、設置にはある程度の技術力が必要です。
また、重量増加による燃費への影響も考慮する必要があります。
1年間の使用体験:家庭用冷蔵庫との車中泊ライフ
家庭用冷蔵庫を車に搭載してから1年3ヶ月が経ちました。この間、様々な状況下で使用してきた経験を、皆さんにお伝えしたいと思います。
初期セットアップと調整期間
セットアップ過程
- 冷蔵庫の固定:フロワークッションのゴムを敷いたトレイを自作してその上にのせました。固定はゴムで車体に固定しています。
- 電源接続:インバーターから100Vの配線を安全に行い、アース接続も実施
- 収納スペースの最適化:冷蔵庫周りの空間を確保して排熱を考慮しました。
振動対策と耐久性テスト
振動対策
一番心配だった走行時の振動で冷蔵庫が壊れないかということでした。
家庭用冷蔵庫なので、メーカーの説明書には、車に積んでいいとは一切書いていません。
今回は人柱になって実験しようと決意しましたが、いまのところ何の問題もなく冷蔵庫は稼働しています。
冷蔵庫は、防振ゴムになるようなフロワーに敷き詰めるゴム製の床材の上にの載せてあります。
耐久性テスト
この1年で1万キロほど走りました。
高速道路から、山奥の道の駅にいったり、デコボコの林道をぬけたりといろいろなところを、この家庭用冷蔵庫を載せて走りましたが、何の問題もありません。
真夏の猛暑で、車内に数時間稼働させても、特に問題はありませんでした。
車内は50度~60度くらいにはなっていたと思いますが、もんだなく稼働していました。
しっかりと、氷もできていました。
とりあえず1年3ヶ月の検証結果です。
家庭用とは思えないほどの耐久性を発揮。1年間で大きなトラブルは一切なし。
たぶん、このまま行けると思います。
壊れても人柱になって実験という気持ちでしたので、問題がなくよかったです。
コンプレッサー式冷蔵庫の注意点
電源のオンオフは頻繁に繰り返さないようにします。
もしコンセントを抜く場合は、コンプレッサーの圧力が下がるまで5分以上は待ってから再度電源を入れることが大切です。
これは、コンプレッサー式の車載用冷蔵庫も同じです。
電力消費
冷蔵庫の消費電力は、45 Wです。車載用の冷蔵庫で40リッターほどの大型のものでもこの程度です。
車載専用の冷蔵庫は直流での電力供給で、バッテリーから直流ですので、電力ロスは少ないと思います。
家庭用冷蔵庫の場合は、100Vですので、インバーターでの直流から交流に変換するときのロスがあります。
正確に電力供給量を計っていませんが、2500Whのサブバッテリーシステムで稼働した場合には、4~5日ほど稼働しています。
旅に出るときには、走行充電をソーラーパネルからの蓄電が発生しているので、電力の心配は全くありません。
夏と冬とでは、やはり夏は消費電力が大きくなります。冬は何の問題もありません。
1年間の使用を通じて、家庭用冷蔵庫は予想以上に車中泊に適していることが分かりました。
確かに初期の調整は必要でしたが、一度セットアップが完了すれば、非常に信頼性の高いシステムとなります。
電力消費も当初の心配ほどではなく、適切な電源システムさえあれば、長期の車中泊でも十分に使用可能です。
むしろ、大容量で使い勝手の良さは、車中泊の質を大きく向上させてくれました。
車中泊生活の変化
92リッターの家庭用冷蔵庫を導入したことで、買い物のパターンが大きく変わりました。
以前は車載用冷蔵庫の容量が限られていたため、少量の食材しか保存できず、頻繁に買い物をする必要がありました。
しかし、92リッターの冷蔵庫を使うことで、以下のような変化がありました。
- 食材の保存: 大容量の冷蔵庫を使うことで、4〜5日分の食材を一度に購入し、保存することができるようになりました。これにより、頻繁に買い物に行く手間が省け、旅の時間をより有効に使えるようになりました。
- 調理の利便性: 新鮮な野菜や肉、乳製品などをしっかりと保存できるため、車内での調理がより楽しく、バリエーション豊かになりました。家庭での食事と同じように、好きな食材を使って料理を楽しむことができます。
- 冷えたビール:なんといってもこれが一番の変化かもしれません!温泉上がりの冷えたビールがいつでもあるということです。
まとめ
家庭用冷蔵庫を車中泊で使用することは、非常に多くのメリットをもたらしました。
まず、92リッターの大容量冷蔵庫を導入することで、長期間の旅行でも十分な食材を保存できるようになり、買い物の頻度を減らすことができました。
また、冷却性能が高いため、食材や飲み物を常に新鮮な状態で保つことができ、車内での調理がより楽しくなりました。
さらに、振動に対する耐久性も問題なく、1年3か月の使用期間中にトラブルは一切発生しませんでした。
一方で、家庭用冷蔵庫を車中泊で使用する際には、電源供給の確保が重要な課題となります。
私たちは25000Wのサブバッテリーを自作し、ソーラーパネルと走行充電器を導入することで、この問題を解決しましたが、これには一定のコストと手間がかかります。
総合的に見て、家庭用冷蔵庫を車中泊で使用することは非常に便利であり、快適な車中泊生活を実現するための有効な手段であると言えます。
これからも家庭用冷蔵庫を活用しながら、より快適で便利な車中泊生活を追求していきたいと思います。