デジタルデバイスの普及に伴い、私たちの日常生活に欠かせないアイテムとなったモバイルバッテリーとポータブル電源。
しかし、その違いを完全に理解している方は案外少ないのではないでしょうか。
今回は、これら二つの電源について詳しく解説し、正しい理解と適切な使い方を伝えたいと思います。
モバイルバッテリーの普及とその背景
スマートフォン、タブレット、カメラなどのデジタルデバイスの持ち運びが一般化し、移動中や外出先でも充電が必要となる現代社会で、重要なアイテムとして需要が急速に高まってきたのがモバイルバッテリーです。
リチウムイオン電池の技術革新により、これらのバッテリーは小型化し、低価格化が進んできました。
その結果、現在では多くの人が日常的にモバイルバッテリーを携帯し、使用しています。
しかし、モバイルバッテリーには一部の人々から物足りなさを感じる声もあがっています。
それは主に充電可能時間の短さ、容量の少なさ、使用できるデバイスの制限、充電方法の制約などが理由です。
ポータブル電源の登場とその特徴
このようなモバイルバッテリーの制約を解消し、より大きな容量と用途の広がりを提供するために登場したのが、ポータブル電源です。
モバイルバッテリーとはいくつかの点で似ていますが、その性能と使い道は全く異なります。
モバイルバッテリーとポータブル電源の共通点と違い
モバイルバッテリーとポータブル電源の両者は、共に非常に便利な携帯用電源です。
家庭やオフィスなど、コンセントが利用可能な場所から離れている状況でも、これらのデバイスを使って電力を供給することができます。
主な目的は電力を蓄えておき、それを他のデジタル機器や家電製品に供給することです。
現在のところ、これらのデバイスの大半はリチウムイオン電池を使用しています。
しかし、ここで重要なのは、これら二つの携帯用電源の違いです。
それは主に容量と出力電流の強さにあります。
次のセクションでは、これらの違いについて詳しく見ていきましょう。
モバイルバッテリーとポータブル電源:深掘り解説
先ほどまでの話で、モバイルバッテリーとポータブル電源の基本的な違いと共通点について見てきました。
それでは、次にそれぞれのデバイスについて、より詳しく解説していきましょう。
モバイルバッテリーの詳細
主なターゲットと特性
モバイルバッテリーはその名の通り、主にスマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどのモバイルデバイスの充電および給電を目的とした製品です。
それに対して、ポータブル電源は家庭用の電源並みの電力供給が可能であり、より幅広い種類の機器に利用することができます。
容量と出力
現在の主流となるモバイルバッテリーの製品では、10000mAhから30000mAh程度の容量があり、これは最新型のiPhone12シリーズを一回充電する程度の容量となっています。
また、パソコンへの利用や、USBで給電する電子タバコ機器等にも対応しています。
出力面では最新の急速充電可能な規格(QC3.0)に対応したものが主流となり、最大18W、電流は3A程度が一般的です。
制約と対象機器
しかし、モバイルバッテリーは電気用品安全法(PSE)により、出力に制限があります。
具体的には、内蔵する単電池1個当たりの体積エネルギー密度が400Wh/Lを超える製品は規制されています。
そのため、モバイルバッテリーの出力は一般的にはUSBの新規格USB Power Deliveryの最大値である100Wを超えることはありません。
現在人気の商品では最大18Wの出力をもつ製品が多く、これにより使用できる機器はパソコン、タブレット、スマートフォン、電子タバコ機器、ワイヤレスイヤホンの給電、充電、USB接続の扇風機等に限られます。
具体的な対応は製品によるので、購入前には必ず製品の情報を確認しましょう。
ポータブル電源の詳細
高容量・高出力の特徴
一方、ポータブル電源はモバイルバッテリーよりも大きな容量と高い出力を持つ特性を持ちます。
具体的な値は製品ごとに異なりますが、家庭用電器のような高出力を必要とする機器に対しても電力供給が可能です。
電力供給の目安
電化製品の出力についての一般的な目安は、その製品のスペック表や説明書を参照することが最も確実です。
なお、一部の電化製品では起動時に一時的に高い消費電力を必要とすることがありますので、その点も考慮に入れて選びましょう。
最大電力は起動時電力を超える必要があります。
接続端子に着目:モバイルバッテリーとポータブル電源の比較
これまでモバイルバッテリーとポータブル電源の基本的な違いについて解説してきましたが、それらの違いは接続端子にも現れています。
ここでは、それぞれのデバイスが持つ接続端子の特徴と違いを詳しく見ていきましょう。
モバイルバッテリーの接続端子
主な接続口:USB
モバイルバッテリーの主な接続口はUSBであり、接続機器によりType-CやMicro USBなどを利用します。
これらの端子はスマートフォンやタブレットなど、モバイルデバイスの充電に主に使われます。
接続可能な端子数とその理由
モバイルバッテリーは主にモバイルデバイスの充電が主用途であるため、一つのバッテリーで同時に接続可能な端子の数は基本的に一つが多いです。
これは、一度に複数のデバイスを充電するとバッテリーの消耗が早くなり、また接続端子を増やすと本体の大きさや重さが増すためと思われます。
PC用途の特例
ただし、パソコンの充電に対応したモバイルバッテリーの中には、AC接続端子を持つものもあります。
これにより、家庭用の電源コンセントから直接充電することが可能となります。
ポータブル電源の接続端子
幅広い用途を想定:複数の接続端子
ポータブル電源はさまざまな用途を想定して設計されており、そのため様々な種類の機器に対応するための接続端子を持っています。
USB端子はもちろんのこと、一般的な家電製品を接続するためのAC接続端子や、車載機器に利用するためのシガーソケット出力端子なども装備しています。
同時の複数接続に対応
ポータブル電源のもう一つの特徴は、同時に複数の機器を接続できることです。
これは、ポータブル電源が大きな容量と出力を持つことから可能となっています。
これにより、例えばキャンプや災害時などで様々な機器を同時に充電したり、給電したりすることが可能となります。
これらの違いを理解することで、自分の使用目的に最適なデバイスを選ぶ際の参考になるでしょう。
利用シーン別:モバイルバッテリーとポータブル電源の適用性
それぞれのモバイルバッテリーとポータブル電源の利用シーンによる適用性を解説します。
各デバイスの特性を理解し、あなたのライフスタイルに適したものを選んでください。
モバイルバッテリー:日常的な生活とモバイルデバイス
モバイルバッテリーの主な利用シーン
モバイルバッテリーは、その名の通り、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスの充電を主に想定しています。
日常的なシーン、特に通勤や通学といった外出時に役立つ携帯電源と言えます。
スマホと一緒に持ち歩く人も多く、頼りになる存在です。
ポータブル電源:多様なイベントと機器
屋外アクティビティでの活躍
ポータブル電源は、その大きな容量を活かし、アウトドアイベントや特別なシチュエーションでの利用を想定しています。
キャンプやBBQなどのアウトドア活動で、ライトやランタン、TVやラジオ、扇風機や小型冷蔵庫、さらにはコーヒーメーカーや炊飯器といった様々な機器の電源として活躍します。
モバイルテレワークへの対応
テレワークが一般化する中、ポータブル電源は外出先での仕事環境をサポートします。
PCやスマホ、タブレットの充電はもちろん、冷暖房設備も利用できます。
ベランダや公園を快適なオフィススペースに変えることが可能です。
災害時の非常電源として
災害時には通信手段や情報収集手段、体温維持などのために電力が必要です。
ポータブル電源は、スマホやラジオ、TVなどの電源として、また冷暖房設備や調理器具の電源として活用できます。
半年に一度程度の充電を行っておけば、緊急時に備えることができます。
室外作業にも活躍
室外での作業やアクティビティにもポータブル電源は大活躍します。
電動工具や芝刈り機、夜間作業の照明など、電力を必要とする様々な状況で役立ちます。
車中泊での活用
車中泊の際には、冷暖房器具や調理器具の電源としてポータブル電源が活用できます。
排気もないため、車内での使用にも問題ありません。
注意点:サイズと重量
ポータブル電源の利用にあたっては、サイズと重量に注意が必要です。
モバイルバッテリーと比較すると大きく重いため、日常的な持ち歩きには向いていません。
以上がモバイルバッテリーとポータブル電源の利用シーンにおける主な違いです。
あなたのライフスタイルに合わせて最適な電源を選びましょう。
充電方法の違い:モバイルバッテリーとポータブル電源
電源デバイスの一部として、それぞれがどのように充電されるかは非常に重要な点です。
ここでは、モバイルバッテリーとポータブル電源の充電方法の違いについて説明します。
モバイルバッテリーの充電方法
モバイルバッテリーは、主にUSB端子からの充電、またはACアダプタを経由してコンセントから充電します。
これらの方法はシンプルであり、日常的に使われている充電手段のひとつです。
ポータブル電源の多様な充電方法
一方、ポータブル電源はさらに多様な充電方法を提供します。
それぞれの製品によって異なる特性を持つため、個々の製品の仕様を確認することが重要です。
コンセントからの充電
まず基本的な方法として、ポータブル電源もコンセントから充電します。
これはモバイルバッテリーと同じです。
車のシガーソケットからの充電
次に、車のシガーソケットを利用した充電が可能な製品が多いです。
これにより、ドライブやキャンプなど、移動中や車内での充電が可能になります。
ジェネレーター(発電機)との連携
さらに、ジェネレーター(発電機)から充電ができる製品も存在します。
これにより、大規模なアウトドアイベントや災害時の非常電源など、電源環境が整っていない場所でも充電が可能となります。
ソーラーパネルによる充電
特筆すべきは、ソーラーパネルによる充電をサポートしている製品です。
Jackeryのような一部のメーカーは、ソーラーパネルを拡張パーツとして提供しています。
これにより、電源がない場所でも充電が可能になり、災害時の利用や電気代の節約、持続可能なエネルギー利用など、ポータブル電源の利用可能性を広げます。
充電方法の違いは、モバイルバッテリーとポータブル電源の最も顕著な特性の一つです。
モバイルバッテリーが日常的な使用を主に考えているのに対し、ポータブル電源は様々な状況や環境下での使用を考慮しています。
そのため、自分のライフスタイルやニーズに最も適した充電方法を提供する製品を選ぶことが重要です。
モバイルバッテリーとポータブル電源の違い:まとめ
モバイルバッテリーとポータブル電源は、ともに我々のデバイスを充電するための重要なツールですが、その使い道や特性には大きな違いがあります。
モバイルバッテリーはスマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスを中心に使用されます。
通勤や通学などの日常生活で活用されることが多いです。
一方、ポータブル電源はその大きな容量を活かして様々なシーンで活躍します。
屋外でのレジャー、テレワーク、災害時の非常電源、室外作業、車中泊など、多岐にわたるシチュエーションで利用できます。
また、充電方法にも違いがあります。
モバイルバッテリーはUSB端子やACアダプタを使って充電します。
これに対して、ポータブル電源はコンセントからの充電に加えて、車のシガーソケットからの充電、ジェネレーターからの充電、そして一部の製品ではソーラーパネルからの充電といった、より多様な充電方法を提供します。
モバイルバッテリーとポータブル電源、どちらを選ぶかは、個々のライフスタイルやニーズによります。
日常的なモバイルデバイスの充電が主な目的であれば、モバイルバッテリーが適しています。
しかし、大容量の電源が必要であったり、さまざまな状況や環境での利用を想定している場合、ポータブル電源がより適しているでしょう。
それぞれの特性を理解し、自分のニーズに合った選択をすることが大切です。